セルフホワイトニングオーナから聞いた業界のリアル

セルフホワイトニングオーナから聞いた業界のリアル selfwhitening
セルフホワイトニングオーナから聞いた業界のリアル

セルフホワイトニング業界のリアル:集客と収益構造の真実に迫る

⚡ マクロ経済の逆風:自己投資の財布のひもが締まる現実

近年、セルフホワイトニングは美容意識の高まりと共に成長してきましたが、現在、その需要はマクロな経済環境から大きな逆風を受けています。

  • 物価高と消費低迷: 食料品から光熱費に至るまであらゆるコストが上昇する中で、消費者の家計は圧迫されています。
  • 高い税金と社会保険料: 可処分所得(自由に使えるお金)が減少し、生活防衛意識が高まっています。

この結果、かつて自分自身に使えていた「自己投資」「娯楽・美容費」に対する支出の優先順位が下がり、ホワイトニングのような「QOL(生活の質)向上」のための需要が減退しているのが現状です。

このような厳しい市場環境の中、セルフホワイトニングサロンが主要な集客窓口としている「ホットペッパービューティー」からの新規顧客獲得数と、そこから生まれる収益構造について、リアルな数字を基に分析します。


📊 ホットペッパービューティーからの集客実態

セルフホワイトニングサロンの多くが主要な集客窓口としているのが、ホットペッパービューティーです。しかし、そこからの新規顧客獲得数には、店舗間で大きな開きがあります。

  • 📈 多い店舗(成功事例):
    • 月間新規顧客数: 50人程度
  • 📉 少ない店舗(一般的な事例):
    • 月間新規顧客数: 3~10人程度

🚨 FCオーナー募集サイトの「夢物語」と現実のギャップ

セルフホワイトニングのフランチャイズ(FC)オーナー募集サイトには、魅力的なフレーズが踊ります。

「月収300万円~500万円の売り上げも可能!」
「驚異の原価率!1回あたりの原価は200円~300円!」

確かに、施術に使われる薬剤や消耗品といった純粋な材料費(原価)は、1回あたり数百円程度と非常に低い水準であり、粗利益率が90%を超えるという点は事実です。しかし、オーナーが手にする「純利益」は、この粗利益からかけ離れたものであることが少なくありません。

「高粗利益率」の裏に隠されたコスト

オーナーが真に注目すべきは、店舗運営にかかるすべての固定費と変動費です。

費用項目月額費用(例)収益を圧迫する要因
家賃20万円高集客を狙うための好立地は、家賃が高い。
人件費20万円セルフとはいえ、受付や説明、清掃に人手は必須。
材料費10万円(真の原価)消耗品だけでなく、備品やメンテナンス費も含む。
広告費5.5万円最も変動しやすいコスト。目標売上達成には、掲載プランのグレードアップが不可欠となり、費用は跳ね上がる。
ロイヤリティFCの場合、売上に応じてロイヤリティが毎月徴収される。
合計55.5万円 + ロイヤリティ

💰 平均客単価とコースへの誘導率

  • 平均客単価(新規・お試し): 1人あたり 2,000円~3,000円
  • コース契約獲得率: 30%と言われている

💸 利益を生み出すための分岐点(コース金額3万円で再シミュレーション)

月間新規50人(平均客単価2,500円)を獲得し、そのうち**30%が30,000円のコース**(平均)を購入したと仮定すると、

  1. 新規単発売上: 50人 × 2,500円 = 125,000円
  2. コース売上: 15人 × 30,000円 = 450,000円
  3. 合計売上: 125,000円 + 450,000円 = 575,000円

月間売上総額: 575,000円、月間コスト総額: 555,000円(ロイヤリティ除く)の場合、

月間利益(概算): 575,000円 – 555,000円 = 20,000円

コース単価が3万円の場合、集客に成功している店舗(新規50人)であっても、ロイヤリティを除いた月間利益はわずか2万円にしかなりません。ロイヤリティや集客数の低下により、容易に赤字に転落することが分かります。

📉 「月収300万円」を達成するための非現実的な数字

目標売上300万円達成には、月間600人の集客が必要です。これは、新規客月間50人という現実の限界を大きく超えた、非現実的な数字です。


💡 まとめ:セルフホワイトニング経営の課題

セルフホワイトニング業界は、「高粗利益率」という魅力を持つ一方で、**マクロ経済の逆風**による**自己投資需要の減退**という課題に直面しています。

結論として、FCの宣伝文句にあるような「月収300万円」は、非現実的な売上目標であり、成功への道は、「いかに初回のお試し客を、高単価・継続利用してくれるロイヤルカスタマーに変えるか」にかかっていると言えるでしょう。