セルフホワイトニングにおけるクーリングオフについて
セルフホワイトニングは、特定商取引法で定められているクーリングオフ制度の対象外となるケースが多いため、注意が必要です。
特定商取引法とクーリングオフ
クーリングオフ制度は、訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供(エステティックサロン、語学教室、学習塾など)といった、消費者が不意打ち的に契約を結んでしまいやすい取引において、消費者を保護するために設けられた制度です。契約書面を受け取ってから一定期間内であれば、無条件で契約を解除できるというものです。
なぜセルフホワイトニングは対象外になりやすいのか
セルフホワイトニングは、多くの場合、以下の理由から特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当しないと判断されます。
- 「役務の提供者」が消費者自身であるため: 特定継続的役務提供は、事業者が消費者に対してサービス(役務)を提供する形態を指します。しかし、セルフホワイトニングは、消費者が自分で機器や薬剤を使って施術を行うため、「役務の提供」が事業者から消費者へ直接行われているとはみなされにくいのです。
- 「エステティックサービス」に該当しないと判断される場合: 特定継続的役務提供の対象となるエステティックサービスは、「人の皮膚を清潔にし、美化し、体型を整えるための施術」と定義されています。セルフホワイトニングは、歯の着色汚れを除去するものであり、この定義に直接当てはまらないと解釈されることがあります。
国民生活センターや各自治体の消費者生活センターも、セルフホワイトニング(セルフエステ)はクーリングオフの対象外となる場合が多いと注意喚起しています。
クーリングオフが適用されない場合の契約解除
クーリングオフが適用されない場合でも、契約を解除できる可能性が全くないわけではありません。
- サロン独自の解約規定: サロンによっては、独自の返金制度や中途解約に関する規定を設けている場合があります。契約時に交わした契約書をよく確認しましょう。
- 消費者契約法による解除:
- 事業者が事実と異なることを告げて契約をさせたり、重要な事実を故意に告げなかったりした場合(不実告知、重要事項不告知)。
- 契約内容を理解させるために不適切な説明があった場合(説明義務違反)。
- 消費者が困惑するような状況で契約をさせられた場合(不退去、監禁)。
これらの場合は、消費者契約法に基づいて契約の取り消しや解除を主張できる可能性があります。
- 合意による解除: サロン側との交渉により、合意の上で契約を解除できる場合もあります。
トラブルを避けるために
セルフホワイトニングの契約を結ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- 契約内容を十分に確認する: 契約期間、料金、支払い方法、解約条件(中途解約の可否、違約金の有無など)を、契約書面で隅々まで確認し、不明な点は必ず質問して解消してから契約しましょう。
- 安易に長期契約を結ばない: 無料体験や初回割引などをきっかけに、高額な回数券や長期契約を勧められることがあります。その場で即決せず、一度持ち帰って冷静に検討する時間を取りましょう。
- 効果の過度な期待をしない: セルフホワイトニングの効果の限界(歯そのものを白くする漂白効果はないこと)を理解しておきましょう。
- 誇大広告に注意する: 「劇的に白くなる」「永久に白さが続く」といった過度な表現には注意が必要です。
- 少しでも不安に感じたら相談する: 契約内容に疑問や不安を感じたら、すぐに最寄りの消費者生活センターに相談しましょう。消費者ホットライン「188(いやや!)」を利用することもできます。
セルフホワイトニングは手軽に利用できるメリットがありますが、トラブルに巻き込まれないためにも、契約前の確認と慎重な判断が非常に重要です。