セルフホワイトニングサロン、2024年夏以降の売上減少か
その背景にある複数の要因
2024年8月頃から、一部のセルフホワイトニングサロンで売上の減少傾向が見られる可能性があります。この背景には、単一の決定的な理由はなく、経済状況の変化、業界内の競争激化、そして消費者の価値観の変化という、複数の要因が複合的に絡み合っていると考えられます。
1. 物価高騰と消費者の節約志向
2024年に入っても続く物価の高騰は、消費者の財布の紐を固くしています。生活必需品への支出が優先される中で、美容などの「選択的支出」は見直しの対象となりやすい傾向があります。
ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、2024年7〜9月期の美容業界の景況は「足踏みが見られる」と報告されており、特に美容サロンの売上は前年同期比で落ち込みを見せています。このようなマクロ経済の動向が、セルフホワイトニングサロンの集客にも影響を与えている可能性があります。消費者は、サロンに通う頻度を減らしたり、より安価な代替手段へと移行したりする動きを見せているのかもしれません。
2. 競争の激化と差別化の困難さ
セルフホワイトニングサロンは、比較的少ない初期投資で開業でき、特別な資格も不要なため、新規参入が相次いでいます。その結果、市場は飽和状態に近づき、サロン間の顧客獲得競争が激化しています。
特に、施術内容で大きな差別化を図ることが難しいセルフホワイトニングの特性上、価格競争に陥りやすい構造的な課題を抱えています。大手フィットネスクラブが月額料金内で利用できるサービスとして導入するなど、新たな競合も出現しており、既存の専門サロンは独自の強みを打ち出せないと、顧客を維持することが難しくなっています。
3. ホームケア市場の拡大と価値観の多様化
ホワイトニング市場全体は成長傾向にありますが、その内訳は変化しています。近年、自宅で手軽に行えるホームホワイトニング用の歯磨き粉やジェル、LEDライト付きキットなどの性能が向上し、人気を集めています。
「サロンに通う時間がない」「もっと手軽に、安く試したい」といったニーズを持つ消費者が、高機能化したホームケア製品に流れている可能性も考えられます。また、「コストパフォーマンス」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する消費者の増加も、サロン離れの一因となっているかもしれません。
まとめ:岐路に立つセルフホワイトニングサロン
セルフホワイトニング市場は、オーラルケアへの関心の高まりを背景に拡大してきた一方で、現在は大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。経済の不透明感、過熱する競争、そして多様化する消費者のニーズという荒波の中で、サロンが生き残るためには、単なる価格訴求だけでなく、サービスの質、顧客との関係性構築、他の美容サービスとの連携など、新たな付加価値を提供していくことが求められます。