IV. 財務詳細：本当に儲かるのか？

セルフホワイトニングサロンが実際に収益を上げられるのかを判断するためには、初期投資、運営コスト、収益構造、そして利益性を詳細に分析する必要があります。

A. 開業費用（初期費用）

セルフホワイトニングサロンの開業にかかる初期費用は、一般的に300万円から900万円程度とされています [24]。ただし、この金額は選択するフランチャイズモデル、既存の物件や居抜き物件の利用、導入する機器の種類などによって大きく変動します。

初期費用の内訳例 [13, 24]:

• 物件取得費: 80万円～200万円 [13] または90万円～150万円 [24]。敷金、礼金、仲介手数料などが含まれます。セルフホワイトニングは省スペース（10～15坪、PLATINUM Lab.のようにマシン1台あたり約1坪から可能な場合も [13]）で開業できるため、自宅やマンションの一室を利用することも可能です。
• 内装工事費: 100万円～300万円 [24] または100万円～200万円 [13]。清潔感、リラックスできる雰囲気、プライバシー保護のための個室や半個室の設置などが求められます。居抜き物件を活用することで、この費用を大幅に削減できます [24]。
• 設備・什器費: 100万円～300万円 [24]。ホワイトニングマシン本体の価格は、購入する場合50万円～300万円と幅がありますが [13]、フランチャイズによってはレンタル [1] や低価格での購入（例：PLATINUM Lab.のマシンは132,000円 [13]）が可能です。その他、施術用の椅子、受付用の机、待合スペースのソファなどで20万円～50万円程度が見込まれます [13]。
• 備品等購入費: 30万円～100万円 [24]。開業時のジェル、マウスピースなどの消耗品在庫が含まれます。PLATINUM Lab.では初回備品パックを33,000円で提供しています [13]。
• 広告宣伝費: 0円～50万円 [24] または20万円～50万円 [13]。SNSなどを活用すれば費用を抑えることも可能です [1, 13]。
• その他諸経費: 20万円～50万円 [13]。開業後3～6ヶ月程度の運転資金も準備しておくと安心です。

開業費用は、事業主の選択によって大きくコントロール可能です。初期費用や加盟金が低い、あるいは無料のフランチャイズを選び [13, 14]、機器をレンタルし [1]、小規模なスペースや既存の物件を利用し、無料のSNSマーケティングを積極的に活用する [1] ことで、初期投資を大幅に抑えることができます。これにより、より広範な起業家層にとって参入しやすいビジネスとなっています。

表2：開業費用（初期費用）内訳の目安

[13, 24]

B. 運営費用（月々のコスト）

月々の運営費用は、売上150万円の店舗モデルの場合、合計で55.5万円から82.5万円が目安となり、これは売上の37%～55%に相当します [24]。

運営費用の内訳例 [24]:

• 賃料: モデルケースでは15万円（売上の10%）。小規模スペースでの開業は、この固定費を抑える上で有効です [26]。
• 人件費: モデルケースでは22.5万円～30万円（売上の15～20%、スタッフ1名の場合）。無人運営モデルではこの費用が0円になる点が最大のポイントです [12, 15, 26]。
• 水道光熱費: 3万円～7.5万円（売上の2～5%）。
• 消耗品費: モデルケースでは15万円（売上の10%）。1回の施術あたりの原価は低く、300円～400円 [2]、あるいはPLATINUM Lab.では700円とされています [14, 27]。
• 広告宣伝費: 0円～15万円（売上の0～10%）。積極的な集客を目指す場合は、これ以上の費用をかけることもあります。
• フランチャイズロイヤリティ（該当する場合）: 変動あり（上記III.B参照）。例：PLATINUM Lab.は0円 [14]、HAKUは売上の10% + サポート費9.7万円 [15]。

運営費用の中で最も変動幅が大きく、かつ削減の余地があるのが人件費です。従来のサロンでは人件費が大きな割合を占めますが [24]、無人運営モデルのフランチャイズ [12, 15, 26] や個人での単独運営は、このコスト構造を根本から変え、収益性を大きく左右します。スタッフを雇用するか否かの判断は、継続的な収益性に最も大きな影響を与える要素の一つと言えるでしょう。

表3：月次運営費用内訳の目安

[2, 14, 15, 24, 26, 27, 28, 29]

C. 収益源と価格戦略

セルフホワイトニングサロンの主な収益源は、施術サービス料と、関連商品の販売です。

• サービス料金:
  • 1回あたりの料金: 一般的に3,000円～5,000円程度が相場です [2, 30]。フランチャイズによっては4,000円～5,000円 [31, 32]、あるいはPLATINUM Lab.のように60分セッションで10,000円～15,000円を推奨する場合もあります [14]。
    • 価格設定例 (PLATINUM Lab. [14]): 60分（8分×5回照射）で10,000円～15,000円。材料原価700円。
    • 価格設定例 (汎用 [31]): 20～30分（8分×2回照射）で4,000円～5,000円。
    • 価格設定例 (汎用 [33]): 30分で4,000円。原価約297円。
• 回数券: 30,000円、50,000円、80,000円といったプランが見られます [34]。
• 通い放題プラン: 32,000円、49,800円、62,800円などのプランがあります [34]。サブスクリプションモデルは安定した収益をもたらします [2]。
• 顧客生涯価値 (LTV): あるM&A案件の例では、初回利用→フリーパス販売→月1回のメンテナンスという流れで、年間LTVが約15万円とされています [34]。

単発のセッションも収益になりますが、回数券や通い放題プラン [2, 34] はリピート利用を促進し、より予測可能なキャッシュフローを生み出します。これは固定運営費をカバーする上で非常に重要です。LTVの事例 [34] は、この継続的な収益モデルの有効性を示しており、成功しているサロンは一度きりの顧客に頼るのではなく、魅力的な複数回利用プランやサブスクリプションを通じてロイヤルカスタマー基盤を積極的に構築していることがうかがえます。これにより、財務の安定性と長期的な収益性が大幅に向上します。

D. 収益性分析とシミュレーション

セルフホワイトニングサロンの収益性を評価する上で、粗利益率と純利益が重要な指標となります。

• 粗利益率: 消耗品の原価が低いため、非常に高い水準で推移します。多くの資料で80%以上、中には90%を超えるとの記述も見られます [2, 14, 27, 31]。
  • 例：PLATINUM Lab. – 93%（施術料金10,000円 – 材料原価700円）[14, 27]。
  • 例：汎用モデル – 80%超（施術料金4,000円～5,000円、原価は低いと示唆）[31]。
• 純利益の事例（運営費用控除後）：
  • PLATINUM Lab.のフランチャイズ加盟店は、純利益70～78%以上を達成していると報告されています [27]。
    • 恵比寿店（3ベッド・スタッフ2名）：月売上400万円、月利益315万円～335万円。
    • 銀座店（3ベッド・スタッフ1名）：月売上150万円～200万円、月利益95万円～140万円。
    • 藤沢店（2ベッド・スタッフ1名）：月売上160万円、月利益105万円～130万円。
  • 一部のオーナーは月間100万円以上の利益を上げています [7, 14]。あるモデルでは、オーナーの月収が125万円とされています [35]。
• 損益分岐点: 具体的な計算は資料にありませんが、固定費（家賃、基本光熱費、借入金返済など）と顧客一人当たりの利益によって決まります。固定費が低い（例：無人運営、小規模スペース）ほど、損益分岐点は低くなります。

高い粗利益率は魅力的な出発点ですが、最終的な純利益は集客数と運営コストの管理に大きく左右されます。PLATINUM Lab.の事例 [27] が示すように、高い粗利益率があっても、実際の純利益は売上規模（顧客数、価格設定）と運営体制（スタッフ数、家賃）によって大きく変動します。これらの впечатляющийな純利益額を達成するには、成功したマーケティングと効率的な運営が不可欠です。初期の高い利益率はあくまで可能性であり、それを実質的な純利益として実現するには、ビジネス全体のバランスを管理する必要があります。

表4：収益と利益性のシミュレーション例（月間・1席あたり）

[14, 24, 27, 31, 32, 33]

このシミュレーションは、顧客数と単価、そして固定費の管理が収益性にいかに大きな影響を与えるかを示しています。