セルフホワイトニング用のLED照射器は、取扱説明書どおりの日々の手入れと記録を続け、異常のサインが出たらすぐに使用を止めることが、故障と事故を防ぐ基本です。修理か買い替えかは、修理費と残りの使用年数、止まったときの営業への影響を比べて決めます。この記事では、すでに照射器を使っているサロンや開業準備中の人に向けて、保守の手順、故障時の対応、買い替えの判断と廃棄の注意点を、仮定の試算とあわせて整理します。特定の製品やメーカーをすすめるものではありません。
保守の基本は「取扱説明書」と「記録」
照射器の手入れの方法、連続使用の制限、点検の項目は、機種ごとに取扱説明書で決められています。この記事で挙げる項目は一般的な例なので、必ず自店の機種の説明書と照らし合わせてください。説明書に書かれていない分解や改造は、故障や事故の原因になるだけでなく、保証の対象外になることがあります。
保守を続けるうえで役に立つのが、照射器ごとの記録表です。次のような項目を1台ずつ記録しておくと、故障したときに販売元へ状況を伝えやすくなり、買い替えの判断材料にもなります。
| 記録する項目 | 例 |
|---|---|
| 機器の情報 | 型式、製造番号、購入日、購入先、保証の期限、保守契約の内容 |
| 使用状況 | 1日・1か月の使用回数(予約システムの実績から転記してもよい) |
| 日々の点検 | 点検日、点検者、異常の有無 |
| 不具合と対応 | 発生日、症状、連絡先、修理内容、費用、使えなかった日数 |
| 部品の交換 | 交換日、部品名、費用 |
日・週・月の点検項目の例
利用者が自分で操作する機器なので、スタッフが毎日状態を確かめることが大切です。以下は点検表をつくるときのたたき台です。頻度と方法は取扱説明書に合わせて調整してください。
| 頻度 | 点検・手入れの例 |
|---|---|
| 利用者ごと | 口元に近い部分を説明書の方法で拭き取り・消毒する。照射部に汚れやジェルの付着がないか見る |
| 毎日(営業前) | 電源を入れて全部の照射部が点灯するか、タイマーが動くかを確かめる。電源コードやACアダプターに傷、折れ、変色がないか見る |
| 毎日(営業後) | 電源を切り、説明書で指定されていればプラグを抜く。本体の外装を拭く |
| 毎週 | アームの固定部のゆるみ、ネジの外れ、ぐらつきがないか。プラグの差し込み口やコンセント周りにほこりがたまっていないか |
| 毎月 | 記録表を見返し、同じ不具合が繰り返していないか。使用回数が説明書の想定を超えていないか |
電源コードを家具の下敷きにしない、たこ足配線を避ける、水回りの近くに置かないといった配置の注意も、点検のたびに確認しておきます。
異常のサインと、その場での対応
次のような症状が出たら、その照射器の使用をすぐに止めて、利用者に別のブースを案内するか、予約を振り替えます。
- 煙が出る、焦げたようなにおいがする、火花が見える
- 本体、電源コード、ACアダプターが異常に熱い
- 点灯しない照射部がある、明滅(ちらつき)がある
- タイマーやスイッチが正しく動かない
- 電源コードやプラグに傷・変形・変色がある
- 落としたり、水やジェルが内部に入ったりした
発煙や異常な発熱があるときは、安全を確かめたうえで電源を切ってプラグを抜き、利用者とスタッフを機器から離します。火が出ている場合は消防に通報します。異常のあった機器には「使用禁止」の表示をし、販売元の確認が終わるまで使わないようにします。
販売元への連絡と、事故情報の扱い
症状、発生日時、使用状況、型式・製造番号、写真を記録して、販売元または製造・輸入事業者に連絡します。修理の受付方法や、修理中の代替機の有無もこのときに確認します。
製品事故の情報は、製品評価技術基盤機構(NITE)が収集しています。NITEの案内では、事業者が使う業務用の電気用品の事故は製造・輸入事業者がNITEに報告する仕組みになっており、リース事業者や修理事業者なども所定の様式で情報を提供できます。また、消費生活用製品安全法では、重大製品事故を知った製造・輸入事業者に、知った日から10日以内の国への報告が義務付けられています。サロンとして事故や事故につながりかねない不具合に気づいたら、まず製造・輸入事業者に正確に伝えることが、同じ事故を防ぐことにつながります。
同じ型式でほかにも事故やリコールがないかは、NITEの「製品事故情報・リコール情報」のページから検索できます。保有している機器の型式で、年に1回程度確認しておくと安心です。
修理費の考え方と税務の扱い
保証期間内の故障でも、落下や水濡れなどは対象外になることがあります。修理の見積もりを受け取ったら、次の点を確認します。
- 保証や保守契約の対象か、対象外ならその理由
- 部品代、工賃、送料(往復)の内訳
- 修理にかかる日数の目安と、代替機の有無・費用
- 修理後の保証(同じ箇所が再び故障した場合の扱い)
税務では、修理の費用は「修繕費」として支出した年の経費にできる場合と、「資本的支出」として減価償却で複数年に分けて経費にする場合があります。国税庁の案内では、資産の使用可能期間を延ばす部分や価値を高める部分は資本的支出とされ、判定は名目ではなく実質で行います。ただし、1つの修理・改良の金額が20万円未満の場合や、おおむね3年以内の周期で行われる修理の場合は、修繕費として扱うことができます。部品を通常より高性能なものに替える場合は、通常の取り替え費用を超える部分が資本的支出になるとされています。具体的な判断は税理士に確認してください。
修理か買い替えかを判断する目安
修理か買い替えかに決まった基準はありません。次の点を書き出して比べると、判断しやすくなります。
- 修理費と、修理後に使える年数:修理費を残りの使用年数で割った「1年あたりの負担」を出す。
- 故障の頻度:記録表で、同じ機器の不具合が増えていないか。
- 部品と修理の受付期間:製造終了から時間がたち、部品の供給や修理の受付が終わる見込みがないか。
- 止まったときの影響:修理期間中に受けられない予約の数。1台で営業している店舗ほど影響が大きい。
- 安全面:事故やリコールの情報がある型式、焦げや発熱が起きた機器は、修理で直るとしても使い続けてよいかを慎重に判断する。
仮定の試算:使い始めて3年目の故障
考え方を示すための仮定です。実際の金額に置き換えて計算し直してください(消費税は考慮していません)。
- 照射器を300,000円で購入し、耐用年数5年・定額法(償却率0.200)で償却している
- 使い始めて3年が終わった時点で故障。修理費は90,000円で、修理すればあと2年使えると見込む
- 買い替える場合は330,000円で、5年使う前提
| 項目(仮定) | 修理して使う | 買い替える |
|---|---|---|
| 今回の支出 | 90,000円 | 330,000円 |
| 見込みの使用年数 | 2年 | 5年 |
| 1年あたりの負担 | 45,000円(90,000÷2) | 66,000円(330,000÷5) |
| 税務の扱いの見込み | 20万円未満の修理なら修繕費として支出年の経費にできる | 新たに取得した資産として減価償却。旧機器は除却を検討 |
計算の確認:償却費は毎年300,000×0.200=60,000円で、3年終了時の未償却残高は300,000−60,000×3=120,000円です。修理の1年あたりの負担は90,000÷2=45,000円、買い替えは330,000÷5=66,000円です。
1年あたりの負担だけを見ると修理のほうが小さくなります。ただし、2年後には結局買い替えが必要になること、修理後に別の箇所が故障する可能性があること、修理期間中の営業への影響は、この計算に入っていません。たとえば修理後の2年間にもう一度60,000円の修理が必要になれば、修理側は(90,000+60,000)÷2=75,000円となり、買い替えの66,000円を上回ります。故障が続いている機器ほど、買い替えを早める判断も合理的になります。
なお、未償却残高120,000円は、修理しても買い替えても、すでに支払った費用です。判断はこれから払う金額と得られる使用年数で行い、未償却残高は税務上の処理として別に扱います。使用をやめて今後も事業に使う見込みがない機器は、所得税の通達で、実際に廃棄する前でも未償却残額から処分見込価額を引いた金額を必要経費にできる取扱い(有姿除却)が示されています。適用できるかは税理士に確認してください。
買い替えに備えた積み立て
照射器は数年ごとに買い替えや大きな修理が必要になる前提で、資金を準備しておくと慌てずに済みます。上の仮定で、5年後の買い替えに330,000円を用意するなら、330,000円÷60か月=月5,500円を毎月取り分けておく計算です。
減価償却費は帳簿上の費用で、お金が手元から出ていくわけではありません。償却費に相当する額を、実際に別の口座などに分けておくと、買い替えの時期に資金が足りなくなるのを防げます。台数が多い店舗は、一度に全台が買い替え時期を迎えないよう、購入時期をずらす考え方もあります。買い替え費用の見積もりの取り方はセルフホワイトニング用LED照射器の選び方|購入とリースの比較で、月々の固定費とのバランスはセルフホワイトニングサロンの収支改善|損益分岐点と資金繰りの見直し方で整理しています。
使わなくなった照射器の廃棄
事業で使った照射器を捨てるときは、家庭ごみとして出すことはできません。廃棄物処理法では、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならないとされています。長野県の案内では、事業者から出る小型家電は、小型家電リサイクル法の対象であっても産業廃棄物とされ、家庭用でない事業用の機器は同法の対象外として、許可を持つ産業廃棄物処理業者に委託するよう示されています。
環境省の排出事業者向けチェックリストでは、処理を委託するときの主な決まりとして次の点が挙げられています。
- 収集運搬・処分は、都道府県知事などの許可を受けた業者に委託する
- 委託契約は書面で結び、許可証の写しなどを添付する
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、写しを交付日から5年間保存する(電子マニフェストも使える)
- 処理料金が一般的な水準より著しく低い業者は注意する
販売元が買い替え時に旧機器の引き取りを行っている場合もあるので、見積もりの段階で確認しておきましょう。引き取りを頼む場合も、その業者が適切な許可や処理の手段を持っているかを確かめてください。処分の具体的な方法は、店舗のある自治体の廃棄物担当課に問い合わせると確実です。閉店にともなって機器をまとめて処分する場合の流れはセルフホワイトニングサロンの閉店手順|休業・譲渡の比較と回数券・機器の整理で扱っています。
よくある質問
LED照射器は何年くらい使えますか?
使える年数は機種や使用回数、手入れの状況によって異なり、一律の目安はありません。税務上の耐用年数は、国税庁の耐用年数表で器具及び備品のうち「理容又は美容機器」が5年ですが、これは実際に使える年数とは別のものです。部品の供給期間や修理の受付期間を販売元に確認しておきましょう。
照射器から焦げたにおいがしたらどうすればよいですか?
すぐに使用を止め、安全を確かめて電源を切りプラグを抜き、利用者を機器から離します。火が出ている場合は消防に通報してください。その機器は使用禁止にし、症状や型式・製造番号、写真を記録して販売元または製造・輸入事業者に連絡します。
修理代は全額その年の経費にできますか?
国税庁の案内では、1つの修理の金額が20万円未満の場合や、おおむね3年以内の周期で行われる修理の場合は修繕費として扱えます。それ以外で、使用可能期間を延ばしたり価値を高めたりする部分は資本的支出として減価償却します。判断は税理士に確認してください。
古い照射器は粗大ごみに出せますか?
事業で使った機器は事業者の責任で処理する必要があり、事業用の機器は許可を持つ産業廃棄物処理業者に委託するのが基本です。書面での委託契約とマニフェストの交付が必要になるため、自治体の廃棄物担当課や販売元の引き取りサービスを確認してください。
LED照射器の関連記事
参考資料
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「事故情報収集制度様式」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品事故情報・リコール情報」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「FAQ・お問い合わせ」
- 経済産業省「消費生活用製品安全法」
- 経済産業省「電気用品安全法の概要」
- 国税庁 タックスアンサーNo.5402「修繕費とならないものの判定」
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「修繕費とならないものの判定」
- 国税庁 タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」
- 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
- 国税庁 所得税基本通達「固定資産等の損失」(51-2の2 有姿除却)
- 環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」
- 長野県「小型家電リサイクル法に基づく小型家電の排出先について」
執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年10月29日

