セルフホワイトニングサロンの原価と利益率の考え方|変動費・固定費・減価償却

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セルフホワイトニングサロンの利益率は、「1回あたりの原価(変動費)」「毎月の固定費」「機器の減価償却」「オーナー自身の報酬」をどう数えるかで、同じ店でも大きく変わって見えます。この記事では、開業を考えている人や運営中のオーナーに向けて、原価と固定費の分け方、LED照射器などの減価償却の考え方(国税庁の資料で確認)、仮定を置いた利益率の試算と、料金プランや値引きが利益率に与える影響を説明します。数字はすべて説明のための仮定で、業界平均や実在店舗の実績ではありません。

「原価が安いから儲かる」とは限らない理由

セルフホワイトニングは、利用者が自分でジェルを塗りライトを当てる形のため、1回あたりの材料費は施術料金に比べて小さくなりがちです。そのため「原価率が低い=利益率が高い」と考えられることがありますが、実際の利益は次の3段階で減っていきます。

  1. 売上 − 変動費 = 限界利益:ジェル・使い捨て用品・決済手数料など、1回ごとに増える費用を引いたもの
  2. 限界利益 − 固定費 − 減価償却費 = 営業利益:家賃、人件費、広告費、機器の費用配分などを引いたもの
  3. 営業利益 − オーナーの報酬 = 事業に残るお金:オーナーが店の利益から生活費を取る場合の実質的な残り

セルフホワイトニングの店は、1回あたりの原価が小さいかわりに、家賃や人件費などの固定費の割合が大きい構造です。予約が埋まれば利益は大きく伸びますが、空き枠が多いと固定費をまかなえません。原価率だけで判断せず、稼働率とセットで見る必要があります。

1回あたりの変動費(原価)を数える

まず、1回の利用ごとに増える費用を項目ごとに書き出します。以下は説明のための仮定です。実際の金額は仕入れ先、発注量、使い方で変わります。

項目内容の例1回あたり(仮定)
ジェル1回に使う量を、容器の容量と仕入れ価格から割り戻す150円
使い捨て用品マウスオープナー、綿棒、ガーゼなど80円
うがい・歯みがき用品紙コップ、歯ブラシ、ティッシュ40円
衛生用品ブースや機器の消毒・清掃に使う消耗品30円
消耗品の合計300円
決済手数料キャッシュレス決済の手数料(契約により異なる)売上の3%(3,000円なら90円)

計算の確認:150+80+40+30=300円。平均単価3,000円なら、変動費は300+90=390円で、売上に対する変動費の割合は13%、限界利益は2,610円(87%)です。

原価を正しく出すときの注意点は次のとおりです。

  • ジェルは「使った量」で割り戻す:1本あたりの仕入れ価格を想定回数で割るだけでなく、月末に在庫を数えて実際の使用量と施術回数を照らし合わせる。使用期限切れで捨てた分も原価に含める。
  • 予約サイトの手数料:予約1件ごとに手数料がかかる契約なら、新規客の変動費に入れる。月額の掲載料なら固定費に入れる。
  • 体験・初回の原価も同じ:初回料金を下げても、1回あたりの消耗品の費用は変わらない。

毎月の固定費と、機器の減価償却

固定費は、来店数にかかわらず毎月かかる費用です。ここでは、開業費用の記事の試算例と同じ条件(テナント・2ブース、アルバイト1人)で、月35万円と仮定します。

固定費の項目(仮定)月額
家賃12万円
アルバイトの人件費(時給1,200円×100時間)12万円
広告・予約サイトの掲載費5万円
光熱費・通信費3万円
予約システムなどの月額1万円
雑費2万円
合計35万円

この35万円には、オーナー自身の報酬と、開業時に買った機器の費用は入っていません。

LED照射器などの減価償却

何年も使う機器は、買った年に全額を経費にするのではなく、使える年数(耐用年数)に分けて経費にするのが原則です(減価償却)。国税庁の案内では、取得価額や申告の方法によって次の扱いがあります(2026年10月29日確認)。

取得価額(1台あたり)経費にする方法
10万円未満使い始めた年に全額を経費にする
10万円以上20万円未満一定の要件のもと、3年間で3分の1ずつ経費にできる(一括償却資産)
10万円以上40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)一定の要件を満たす青色申告者は、年300万円までの範囲で、使い始めた年に全額を経費にできる特例がある(2029年3月31日までの取得が対象)
上記以外耐用年数に応じて減価償却する。個人の場合、届出がなければ一般に定額法

耐用年数は、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で資産の種類ごとに決まっています。たとえば器具及び備品のうち「理容又は美容機器」は5年、接客業用の応接セットや家具は5年、看板は3年です。建物附属設備では、照明設備を含む電気設備(蓄電池電源設備以外)と給排水設備が15年、店用簡易装備が3年とされています。セルフホワイトニング用の照射器がどの区分に当たるかは、機器の構造や用途で判断が分かれる可能性があるため、税理士に確認してください。

以下は、照射器25万円×2台(合計50万円)を、仮に耐用年数5年・定額法(償却率0.200)で償却する場合の計算です。

  • 1年あたりの償却費:50万円 × 0.200 = 10万円
  • 1か月あたり:10万円 ÷ 12 ≒ 8,333円
  • 年の途中で使い始めた場合、その年の償却費は「年額 ÷ 12 × 使った月数」

月8,333円は固定費35万円に比べて小さく見えますが、機器は数年後に買い替えや修理が必要になります。減価償却費を月々の費用として意識しておくと、買い替えのお金を残しておく目安になります。上の特例で買った年に全額を経費にした場合でも、管理用の損益表では月割りで見ておくと、年ごとの利益の比較がしやすくなります。

利益率の試算:稼働率とオーナー報酬で変わる

ここまでの仮定(平均単価3,000円、変動費は消耗品300円+決済手数料3%、固定費35万円、減価償却費は月8,333円、2ブースで月500枠)で、稼働率ごとの利益を計算します。オーナーの報酬は月30万円と仮定しました。

稼働率施術回数売上変動費営業利益(償却後)営業利益率オーナー報酬30万円を引いた残り
30%150回45万円5.85万円約3.3万円7.4%約−26.7万円
40%200回60万円7.8万円約16.4万円27.3%約−13.6万円
50%250回75万円9.75万円約29.4万円39.2%約−0.6万円
60%300回90万円11.7万円約42.5万円47.2%約12.5万円

計算の確認(稼働率50%):500枠×50%=250回、売上は250回×3,000円=75万円。変動費は250回×300円+75万円×3%=7.5万+2.25万=9.75万円。営業利益は75−9.75−35−0.8333=29.4167万円で、売上に対して39.2%。オーナー報酬30万円を引くと−0.5833万円です。

この表から分かるのは次の2点です。

  • 利益率は稼働率でほぼ決まる:原価率は13%で一定でも、稼働率30%と60%では営業利益率が7%台から47%台まで変わります。
  • オーナー報酬を入れると見え方が変わる:営業利益率39%の店でも、オーナーが月30万円を受け取るとほとんど残りません。オーナーが自分で接客もしてアルバイトを減らす、営業時間を延ばして枠を増やすなど、報酬と人件費をあわせて考える必要があります。

赤字にならない来店数(損益分岐点)の出し方は「収支改善|損益分岐点と資金繰りの見直し方」、枠数と稼働率から月商を組み立てる方法は「セルフホワイトニングサロンの売上・月商の考え方」で詳しく説明しています。

料金プランごとの1回あたりの利益

同じ「1回の利用」でも、単発・回数券・月額プランでは1回あたりの売上が違うため、利益率も違います。特に月額の通い放題は、来店回数が増えるほど1回あたりの売上が下がり、変動費の割合が上がります。月額6,000円のプランで、来店回数ごとの1回あたりの売上と、会員1人あたりの限界利益を計算します(仮定)。

月の来店回数1回あたりの売上月の変動費(消耗品+手数料)会員1人あたりの限界利益限界利益率
3回2,000円1,080円4,920円82%
5回1,200円1,680円4,320円72%
8回750円2,580円3,420円57%

計算の確認(月5回):消耗品300円×5回=1,500円、決済手数料6,000円×3%=180円、変動費は1,680円。限界利益は6,000−1,680=4,320円で、6,000円に対して72%です。

月額プランの限界利益率は、来店が多い会員ほど下がります。さらに、来店の多い会員は予約枠も多く使うため、ほかの利用者が予約しにくくなります。月額プランを設けるときは、会員数だけでなく、会員の来店回数の分布と、枠のうち会員が使っている割合をあわせて確認してください。

回数券は、販売した月にまとめて入金があり、施術はその後に発生します。入金をそのまま利益と考えず、まだ使われていない回数を記録しておきます。会計上の扱いは税理士に確認してください。

値引き・初回割引が利益率に与える影響

値引きをすると、売上は下がっても1回あたりの消耗品の費用は変わらないため、利益は値引き率以上に減ります。平均単価を3,000円から10%下げて2,700円にした場合を計算します(仮定)。

  • 値下げ前の1回あたり限界利益:3,000−300−90=2,610円
  • 値下げ後:2,700−300−81=2,319円(約11%減)
  • 値下げ前に月250回で得ていた限界利益65.25万円を保つには、65.25万円÷2,319円≒281.4回 → 282回

計算の確認:282回×2,319円=653,958円で65.25万円を上回り、281回では651,639円で下回ります。10%の値引きで、同じ利益を得るには施術回数を約13%(250回→282回)増やす必要があります。

初回割引は新しい利用者に試してもらうための費用と考え、その後に継続した人の売上で回収できているかを確認します。初回だけで終わる人が多い場合は、割引の深さより、初回の説明や次回の案内を見直すほうが利益に結びつきます。

また、料金を安く見せる表示には注意が必要です。景品表示法では、料金などの取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示(有利誤認)が禁止されています。通常価格の根拠がない二重価格や、条件を小さく書いた「○円〜」の表示は避け、初回料金の条件をはっきり示してください。

利益率を確かめる毎月の手順

  1. 変動費の実績を出す:月末に消耗品の在庫を数え、仕入れ額から使用額を出して施術回数で割る。想定(この記事では300円)とのずれを確認する。
  2. 固定費を見直す:予約サイトの掲載料、システムの月額など、使っていないサービスがないかを確認する。
  3. プラン別に分ける:単発・回数券・月額の施術回数と売上を分け、1回あたりの売上を比べる。
  4. 減価償却と買い替えを意識する:機器の残りの耐用年数と、修理・買い替えの見込みを年に1回確認する。
  5. オーナー報酬込みで判断する:営業利益だけでなく、オーナー報酬を引いたあとの残りで、事業として続けられるかを判断する。

よくある質問

Q. セルフホワイトニングの原価率はどのくらいですか?

A. 業界全体の原価率を示す公的な統計はありません。この記事の仮定(平均単価3,000円、消耗品300円、決済手数料3%)では変動費の割合は13%でしたが、仕入れ価格やジェルの使用量、料金プランによって変わります。自分の店の在庫と施術回数から実際の数字を出してください。

Q. LED照射器は何年で償却しますか?

A. 耐用年数は国税庁の耐用年数表で資産の種類ごとに決まっており、器具及び備品のうち「理容又は美容機器」は5年です。ただし照射器がどの区分に当たるかは機器によって判断が分かれる可能性があるため、税理士に確認してください。1台の取得価額によっては、使い始めた年に全額を経費にできる場合もあります。

Q. 月額の通い放題プランは利益率が低くなりますか?

A. 来店回数が多い会員ほど1回あたりの売上が下がり、限界利益率も下がります。この記事の仮定では、月額6,000円で月3回なら82%、月8回なら57%でした。会員の来店回数の分布と、予約枠への影響をあわせて確認することが大切です。

Q. 利益率の目標はどのくらいにすればよいですか?

A. 決まった目安はありません。オーナーの報酬、借入の返済、機器の買い替えに必要なお金を先に見積もり、それをまかなえる営業利益から逆算して、必要な稼働率と単価を決めるのが現実的です。

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参考資料

執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年10月29日