既存サロンにセルフホワイトニングを追加する方法|導入費用の試算と注意点

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ネイルサロンやエステサロン、美容室などの既存店舗にセルフホワイトニングを追加する場合、必要になるのは照射器と消耗品だけでなく、ブースの確保、同意書、表示のルール、前払い契約の扱いまで含めた準備です。この記事では、すでにサロンを営んでいる事業者に向けて、導入に必要なもの、費用項目と仮定にもとづく試算、既存のお客様への案内、法令上の注意点を順に整理します。数字は特定の機器や店舗の実績ではなく、考え方を示すための仮定です。

既存サロンに追加するときの基本的な考え方

セルフホワイトニングは、利用者が自分でジェルを塗り、自分で照射器を操作する形のサービスです。スタッフが利用者の口の中に触れたり、歯にジェルを塗ったりすると、歯科医師法や歯科衛生士法が定める業務にあたるおそれがあるため、既存メニューとは接客の仕方がまったく異なります。

そのため、追加を検討するときは「空いている時間とスペースを埋める副メニュー」として位置づけ、次の3点を先に確かめておくと判断がしやすくなります。

  • 既存メニューの来店に続けて案内できるか(例:ネイルの施術の前後に続けて予約してもらえるか)
  • スタッフが「説明だけで、手は出さない」接客を徹底できるか
  • 口をすすぐ・歯を磨くための水回りを、利用者が気兼ねなく使えるか

サロンでできること・できないことの線引きは、セルフホワイトニングサロンで医療機器は使える?薬機法・歯科医師法から見るできることで詳しく整理しています。

導入に必要なもの

項目内容確認しておきたい点
スペース椅子1脚と照射器を置ける区画。仕切りやカーテンで目隠しできるとよい口を開けた姿を見られたくない人が多いため、他のお客様の視線が届かない配置にする
照射器(LED)利用者が自分で操作できる、医療機器ではない照射器取扱説明書、電気用品安全法の表示(PSEマーク)、保証と修理の窓口
ジェル・消耗品ジェル、マウスオープナー、ペーパー類、歯ブラシ、紙コップなど成分表示と保管方法、使用期限、仕入れの最小ロット
水回りうがいと歯磨きができる洗面台既存の洗面台を共用できるか、混み合う時間帯に支障がないか
同意書・説明書施術前に、内容・注意事項・利用を控えてほしい人を説明する書面持病や口の中の状態に不安がある人には歯科の受診を勧める文言を入れる
衛生用品アルコール等の清拭用品、使い捨て手袋(スタッフ用)利用者ごとに椅子・照射器の接触部を拭く手順を決める

美容所として保健所に届け出ている店舗で、区画を作り直したりレイアウトを変えたりする場合は、構造設備の変更の届出が必要になることがあります。たとえば新宿区の案内では、構造設備の変更には変更前後が分かる平面図の提出が必要で、変更の規模によっては新規開設の扱いになることがあるとされています。工事の前に、店舗を所管する保健所に相談してください。

費用項目と仮定の試算

導入費用は、照射器の価格帯と台数、区画をどこまで作り込むかで大きく変わります。ここでは考え方を示すため、次の仮定で試算します。実際の見積もりに置き換えて計算し直してください。

初期費用の項目(仮定)金額
照射器 1台300,000円
間仕切り・椅子などの区画づくり150,000円
ジェル・消耗品の初回仕入れ50,000円
同意書・店内掲示・メニュー表の作成30,000円
合計530,000円

次に、1回あたりの利益を考えます。こちらも仮定です(消費税は考慮せず簡略化しています)。

  • 1回の料金:3,000円
  • 1回あたりの消耗品:500円
  • キャッシュレス決済の手数料:料金の3%として90円
  • 1回あたりに残る金額:3,000円 −(500円+90円)=2,410円
  • 追加で毎月かかる費用(消耗品の管理・販促・電気代など):10,000円
月の利用回数(仮定)1回あたりの残り×回数毎月の追加費用を引いた額初期費用530,000円の回収にかかる期間
5回12,050円2,050円約259か月
20回48,200円38,200円約13.9か月
40回96,400円86,400円約6.1か月

この仮定では、毎月の追加費用10,000円をまかなうのに月5回(10,000円÷2,410円=約4.1回)が必要で、5回程度では初期費用の回収にきわめて長い期間がかかります。月20回なら1年強、月40回なら半年ほどで回収できる計算です。

ただしこの試算には、案内や清掃にかかるスタッフの時間を入れていません。既存スタッフの空き時間で対応できることが前提で、専任の人を置くなら人件費を毎月の費用に加えて計算し直す必要があります。開業費用全体の考え方はセルフホワイトニングサロンの開業費用はいくら?内訳と2つの試算例で解説も参考にしてください。

業態ごとの組み込み方

既存の業態組み込みやすい形気をつけたい点
ネイルサロンネイルの前後や、来店の合間に単独メニューとして案内施術中の手を使えないため、ネイルと同時には行えない。施術時間の合計を予約枠に反映する
エステサロンフェイシャルなど顔まわりのメニューと組み合わせた来店のついでに案内個室を使う場合、既存メニューの稼働とぶつからない時間帯を決める
美容室カラーの放置時間とは別に、待ち時間の少ない枠で単独利用を案内美容所の区画内に設ける場合は保健所に事前に相談する。薬剤や水回りの動線と分ける

どの業態でも、既存メニューの「おまけ」として無理に組み合わせるより、単独で予約できるメニューとして見せたほうが、利用者が内容を理解したうえで申し込みやすくなります。ネイルサロンとの比較で事業性を考えたい場合は、セルフホワイトニングとネイルサロンを費用・収益・リスクで比較もあわせてご覧ください。

既存のお客様への案内のしかた

既存のお客様は店舗への信頼があるぶん、内容を十分に理解しないまま申し込むこともあります。案内では次の点を最初に伝えておくと、後のトラブルを減らせます。

  1. 利用者が自分でジェルを塗り、照射器を操作するサービスであること
  2. 対象は歯の表面の着色汚れのケアで、歯科のホワイトニングとは別のものであること
  3. 感じ方には個人差があり、仕上がりの約束はできないこと
  4. 虫歯や歯ぐきの不調、知覚過敏などが気になる人は、先に歯科で相談してほしいこと
  5. 料金、所要時間、キャンセルの扱い

店内掲示やLINEでの告知も、この順番で書くと誤解を招きにくくなります。「○回で白くなる」「何トーン明るく」といった約束にあたる書き方は避けてください(次の章で説明します)。

表示・広告で守ること(薬機法・景品表示法)

サロンで使う照射器やジェルは、医療機器や医薬品ではない前提で使うものです。医療機器ではないものに医療機器のような効能を書くと、承認を受けていない医療機器の広告として薬機法第68条の問題になるおそれがあります。東京都の案内でも、雑貨であっても医療機器の目的を標ぼうすると医療機器に該当すると説明されています。

また、過酸化水素を含む歯科用のホワイトニング材について、厚生労働省は医療機器であり、歯科医師が患者ごとに使用の可否を判断するものだとする回答を公表しています(2025年4月18日)。サロンの判断で同種の材料を用意して使わせることは避けてください。

景品表示法では、サービスの内容を実際より著しく優れていると示す表示(優良誤認表示)や、料金などの取引条件を実際より著しく有利と思わせる表示(有利誤認表示)が禁止されています。効果をうたう表示については、消費者庁から裏付けとなる資料の提出を求められ、提出できない場合は不当表示とみなされる仕組み(不実証広告規制)もあります。

避けたい書き方の例言い換えの例
歯が白くなる・漂白できる歯の表面の着色汚れをケアするメニューです
1回で○トーンアップ感じ方には個人差があります
歯科医院と同じ効果歯科のホワイトニングとは別のサービスです
今だけ半額(通常価格での販売実績がない)導入記念価格○円(○月○日まで)

口コミの投稿をお客様に依頼して特典を渡す場合など、店舗が関わった表示であることが分かりにくい書き方も、景品表示法で不当表示に指定されています(いわゆるステルスマーケティング)。紹介を依頼するときは、店舗からの依頼であることが分かる形にしてください。

回数券・前払いの扱い(特定商取引法・資金決済法)

既存サロンでは回数券やコース契約を扱い慣れていることが多いため、セルフホワイトニングでも同じ売り方をしたくなります。注意したいのは次の3点です。

1. 特定継続的役務提供との関係
特定商取引法の「特定継続的役務提供」には、エステティックや美容医療(歯牙の漂白を含む医学的処置)が含まれ、期間が1か月を超え、総額が5万円を超える契約には書面交付やクーリング・オフ、中途解約のルールが適用されます。一方、国民生活センターは、自分で機器を使う「セルフ」の施術は、多くの場合クーリング・オフなどの制度の対象外とされていると注意を呼びかけています。対象外であっても、契約期間・解約条件・返金の扱いを書面で示しておくことが、トラブルを防ぐうえで欠かせません。

2. 相談が増えている売り方を避ける
国民生活センターには、無料体験のつもりで来店したところ有料だと言われた、「今日だけ」と契約を急がされた、回数券購入後に解約を断られた、といったセルフホワイトニングの相談が寄せられています。既存のお客様への案内でも、体験の料金、その場で契約を求めないこと、解約の条件を最初に示してください。

3. 前払式支払手段にあたる場合
回数券やチャージ式のプリペイドは、資金決済法の前払式支払手段にあたる場合があります。自店でだけ使える「自家型」は、基準日(毎年3月末と9月末)の未使用残高が1,000万円を超えると、未使用残高の2分の1以上の供託などをしたうえで、基準日の翌日から2か月以内に届出が必要です。有効期間が6か月未満のものなどは対象外とされています。既存メニューの回数券と合算して判断するため、残高の管理方法を決めておきましょう。

導入前のチェックリスト

  • 利用者の視線を遮れる区画と、気兼ねなく使える水回りを用意できるか
  • 美容所の区画を変更する場合、保健所に事前に相談したか
  • 照射器の取扱説明書、PSEマーク、保証と修理の窓口を確認したか
  • ジェルの成分表示を確認し、過酸化物を含む歯科用の材料ではないことを確かめたか
  • 同意書に、利用を控えてほしい人と歯科受診を勧める文言を入れたか
  • スタッフ全員が「説明だけで、口の中には触れない」ことを理解しているか
  • メニュー表・店内掲示・SNS告知に、効果の約束にあたる表現がないか
  • 回数券を扱う場合、契約条件の書面と未使用残高の管理方法を決めたか
  • 自店の見積もりで、上の試算を計算し直したか

よくある質問

ネイルサロンやエステサロンにセルフホワイトニングを追加するのに、資格は必要ですか?

利用者が自分で行う形のサービスであれば、スタッフに特定の国家資格は求められていません。ただし、スタッフが口の中に触れる、ジェルを塗るといった行為は歯科医師法や歯科衛生士法の業務にあたるおそれがあるため行わないでください。

美容室の中にブースを作っても問題ありませんか?

美容所として届け出ている区画の構造や設備を変える場合は、変更の届出が必要になることがあり、規模によっては新規開設の扱いになることもあります。工事の前に、所管の保健所に相談してください。

どのくらい利用があれば採算が合いますか?

この記事の仮定(1回3,000円、消耗品と決済手数料で590円、毎月の追加費用1万円、初期費用53万円)では、月20回で回収に約14か月、月40回で約6か月です。料金や仕入れ値、人件費の扱いで結果は大きく変わるため、自店の数字で計算し直してください。

回数券を販売してもよいですか?

販売はできますが、契約期間・解約・返金の条件を書面で示してください。また回数券は資金決済法の前払式支払手段にあたる場合があり、自家型で基準日の未使用残高が1,000万円を超えると届出などが必要です。既存メニューの回数券と合算して管理してください。

「白くなる」と案内してはいけないのですか?

サロンで扱うのは歯の表面の着色汚れのケアで、医療機器ではない機器・材料を使う前提です。漂白や白くなる効果を断定すると、薬機法や景品表示法上の問題になるおそれがあります。「着色汚れのケア」「感じ方には個人差がある」といった書き方にとどめてください。

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参考資料

執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年10月29日