法定開示書面の読み方|フランチャイズ加盟前の項目ごとの確認ポイント

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法定開示書面は、フランチャイズ本部が契約前に加盟希望者へ交付する、本部の概要と契約の主な内容をまとめた書面です。読むときは、項目を「本部の体力」「加盟店の実績」「お金」「営業の制約」「契約の終わり方」に分け、それぞれ数字の推移と条件の書き方を確かめるのが要点です。この記事では、セルフホワイトニングのフランチャイズを検討している人に向けて、中小企業庁が示す開示項目に沿って、項目ごとの確認ポイントと、書面だけでは分からないことの聞き方を整理します。

法定開示書面とは

中小小売商業振興法第11条は、特定連鎖化事業(一定の要件にあたるフランチャイズ)を行う本部に対し、加盟しようとする人と契約を結ぶ前に、決められた事項を記載した書面を交付し、その内容を説明することを義務づけています。本部が従わない場合、主務大臣は勧告でき、勧告に従わなければその旨を公表できると定められています(同法第12条)。中小企業庁は、本部が適切に開示・説明しているかを確認するための報告徴収も行っています。

中小企業庁の加盟希望者向け資料「フランチャイズ事業を始めるにあたって」は、同法と施行規則で定める事前開示項目を23項目の表にまとめ、項目ごとの確認ポイントを添えています。この記事の項目の区分も、この表をもとにしています。

セルフホワイトニングのフランチャイズは対象になるか

同法の対象は、主に小売業(飲食店を含む)を営む中小小売商業者を加盟店とするフランチャイズです。中小企業庁は、特定連鎖化事業にあたる要件として、定型的な約款による契約であること、継続的に商品を販売(またはあっせん)すること、継続的に経営指導を行うこと、商標などを使わせること、加盟金・保証金などを徴収することなど6つを示しています。サービスが中心のセルフホワイトニングのフランチャイズが対象になるかは、事業の内容によって変わります。

ただし中小企業庁は、要件にあたらない場合でも、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(以下、ガイドライン)に沿って事前に開示することが望ましいとしています。ガイドラインは業種を問わず適用されます。加盟を検討する側としては、対象かどうかにかかわらず、この記事の項目を書面で出してもらうよう依頼し、どこまで応じてもらえるかも確認してください。

読む前の準備

  • 書面は持ち帰って読む:説明の場で読み切ろうとせず、写しを受け取って時間をかけて読む。中小企業庁の資料は、本部が契約を急がせても、最低限すべての項目について納得できるまで説明を受けるよう求めています
  • 契約書のひな形も一緒にもらう:開示書面は契約の「主な内容」をまとめたものです。条文の正確な文言は契約書で確かめる
  • メモの欄を作る:項目ごとに「書面の記載」「分からない点」「本部の回答」「回答日」を書く表を用意する
  • 複数の本部を比べる場合は同じ表に:本部ごとに別の表を作らず、同じ項目を横に並べると違いが見えやすくなります

本部の概要と財務を読む

開示項目確認ポイント
本部の名称・住所・従業員数、役員の役職と氏名契約の相手方がどの会社か。説明会を開いた会社と契約の相手が違わないか
資本の額、主要株主、他の事業の種類本部が他にどんな事業をしているか。フランチャイズ事業の比重
子会社の名称と事業の種類機器のリースや消耗品の販売を子会社・関連会社が行っていないか
直近3事業年度の貸借対照表・損益計算書売上と利益の推移、純資産。損益の悪化が続いていないか
事業の開始時期フランチャイズ事業を始めてからの年数

財務諸表の読み方に慣れていない場合は、税理士や中小企業診断士に見てもらうのが確実です。少なくとも、3年分の売上・営業利益・純資産の推移を書き出し、どの方向に動いているかを把握しておきましょう。

セルフホワイトニングでは、照射器や消耗品を本部以外の会社から買う・借りる形もあります。子会社の欄と、後で説明する「商品の販売条件」の欄を照らし合わせ、お金を払う相手を全部書き出しておくと、契約の全体像がつかみやすくなります。

加盟店の推移・収支・訴訟を読む

この3つは、本部の説明よりも実績が表れやすい項目です。

開示項目確認ポイント
直近3事業年度の加盟店舗数の推移(年度末の店舗数、新規出店数、契約解除の数、契約更新の数と更新されなかった数)店舗数の増減だけでなく、新規出店と解除・不更新の両方の数を見る
立地条件が類似する加盟店の直近3事業年度の収支(売上高・売上原価・ロイヤルティ・人件費・販売費及び一般管理費など)と、類似と判断した根拠自分が出店を考える立地と似ているか。費用に何が含まれているか
直近5事業年度の、契約に関する訴訟の件数(本部が加盟者を訴えた件数、加盟者が本部を訴えた件数)件数と、どちらから提起されたか

店舗数の推移は「出入り」で見る

年度末の店舗数が同じでも、新規出店が少なく解除も少ない場合と、新規出店も解除も多い場合では意味が違います。書面の数字から、年度ごとに次の表を作ってみてください。以下は説明のための仮定の数字です。

年度(仮定)期首の店舗数新規出店契約解除更新されなかった年度末の店舗数
1年目40153240+15−3−2=50
2年目50126450+12−6−4=52
3年目5289552+8−9−5=46

この仮定では、年度末の店舗数は40→50→52→46と動いていますが、契約解除と不更新を合わせた数は5→10→14と増えています。期首の店舗数に対する割合は、1年目が5÷40=12.5%、2年目が10÷50=20%、3年目が14÷52≒26.9%です。このような動きが見えたら、解除や不更新の主な理由、その店舗がどうなったか(閉店したのか、別の運営者に引き継がれたのか)を本部に質問します。

書面の数字で計算が合わない場合(期首+新規−解除−不更新が年度末と一致しない)は、店舗の譲渡や直営化など別の動きがある可能性があるため、内訳を確認してください。

類似立地の収支は「似ている根拠」を確かめる

中小企業庁の資料によると、立地条件が類似する加盟店の収支は、2021年4月の施行規則改正で開示項目に追加され、2022年4月1日から施行されています。書面に載っている店舗が自分の候補地と似ているかを、商業施設か路面か、駅からの距離、周辺人口、ブース数、営業時間などで比べてください。売上だけでなく、ロイヤルティや人件費などの費用が差し引かれた後に何が残るかを読むことが大切です。家賃や借入の返済が含まれているかも確認します。

費用を差し引いて赤字にならない水準は損益分岐点の記事で確認できます。

訴訟の件数は理由も聞く

中小企業庁の資料は、訴訟の件数を本部と加盟店の信頼関係を判断する材料として挙げています。件数が0か多いかだけで結論を出さず、件数がある場合は、どのような争いだったか(費用の請求、契約解除、競業禁止など)を本部に聞いてください。

お金に関する項目を読む

開示項目確認ポイント
加盟時に徴収する金銭(額または算定方法、加盟金・保証金・備品代などの性質、徴収の時期と方法、返還の有無と条件)名目ごとの金額と、物件が見つからず開店できなかった場合に返ってくるか
定期的に徴収する金銭(額または算定方法、性質、徴収の時期と方法)ロイヤルティの計算の基準(何に対して何%か、定額か)と、システム料・広告分担金など他の定期的な支払い
売上金の全部または一部を本部に送金させる場合の時期と方法売上を一度本部に送り、費用を差し引いて戻す仕組みか。精算のタイミング
本部による金銭の貸付けや、そのあっせんの利率・条件利率、返済期間、担保・保証の有無
一定期間の取引の債権債務を相殺した残額に利息を付ける場合の利率・条件相殺の仕組みと利率
加盟者に販売する商品の種類と代金の決済方法ジェルなどの消耗品や機器を本部から買う必要があるか、支払い条件

ロイヤルティは自分の売上で計算してみる

ガイドラインは、本部がロイヤルティを実際より低く見えるように説明することを、不当な勧誘の判断の観点に挙げています。書面の算定方法を使い、自分の売上の見込みで毎月の支払い額を計算してください。以下は仮定の例です。

  • ロイヤルティ:月の売上の6%、ただし月額の下限5万円(仮定)
  • 月の売上が120万円の場合:120万円×6%=7.2万円(下限の5万円を上回るので7.2万円)
  • 月の売上が70万円の場合:70万円×6%=4.2万円 → 下限が適用され5万円

この仮定では、売上が約83.3万円(5万円÷6%)を下回ると、実質的に売上の6%より重い負担になります。下限額や「売上」の定義(物販や回数券の前受金を含むか)は、書面と契約書の両方で確かめてください。

売上金の送金と相殺がある場合

中小企業庁の資料は、売上金を本部に送り、相殺で精算するような仕組みで会計処理が複雑になる場合は、納得できるまで説明を受けるよう勧めています。毎月の精算書の見本をもらい、どの費用がどの順で差し引かれ、いつ手元に入るのかを確認しておくと、資金繰りを組みやすくなります。

営業の制約に関する項目を読む

開示項目確認ポイント
加盟店の営業時間・営業日・休業日自分で決められる範囲。施設の営業時間に合わせる義務との関係
加盟店の周辺に、本部が同一・類似の店舗を出す(出させる)規定の有無と内容テリトリーの保護があるか。近隣への出店計画の有無
店舗の構造や内外装について加盟者に課す特別の義務指定の内装・看板・業者。改装の頻度と費用負担
経営指導(加盟時の研修・講習の有無と内容、継続的な指導の方法と回数)研修の日数・費用、開業後の訪問や相談の頻度
使用させる商標・商号などの表示と、その使用条件使える表示の範囲、使用料の有無

営業時間は、自分や家族の生活、スタッフを雇う場合の人件費に直結します。中小企業庁の資料も、休みの取りやすさや雇用した場合の採算を本部と相談するよう勧めています。

近隣への出店について、ガイドラインは、出店しないという事前の取り決めに反して近隣に出店することなどを、優越的地位の濫用にあたるおそれがある例として挙げています。規定がない場合も含めて、書面に何が書かれているかをそのまま記録しておきましょう。

セルフホワイトニングで追加で確認したいこと

経営指導や商品の欄とあわせて、次の点も書面で確認しておくと安心です。

  • 使うジェルの成分と製品の区分。過酸化水素などを含む歯のホワイトニング材は医療機器として扱われ、歯科医師の判断のもとで使うものとされています(厚生労働省の2025年4月の回答)
  • スタッフがお客様の口の中に触れない、診断をしないといった運用が研修で明確になっているか
  • 本部が用意する広告物に、歯が白くなる効果を断定する表現がないか

契約期間・解除・終了後の制限を読む

開示項目確認ポイント
契約期間、更新の条件と手続、解除の要件と手続、解除時の損害賠償金(違約金)の額または算定方法どんな場合に、いくら払う必要があるか。自分から途中でやめる場合の条件
契約違反の場合に生じる金銭の支払いなどの義務の内容違反の種類ごとのペナルティ
契約終了後の、他のフランチャイズへの加盟の禁止や類似事業への就業制限などの規定制限される地域・期間・業種の範囲
契約期間中・終了後に、事業で知った情報の開示を禁止・制限する規定守秘義務の範囲と期間

途中でやめた場合の総額を計算する

中小企業庁の資料は、どの解約にいくらの違約金がかかるかを十分に確認するよう求めています。ガイドラインも、中途解約時の違約金を十分に開示しないことなどを、不当な勧誘の判断の観点に挙げています。書面の算定方法で、たとえば次のように計算しておきます。以下は仮定の例です。

  • 契約期間5年(60か月)、中途解約の違約金は「月額ロイヤルティ相当額×残りの月数の2分の1」(仮定)
  • 月額ロイヤルティを5万円、開業24か月目の終わりに解約する場合:残り36か月 → 5万円×36×1/2=90万円
  • このほか、照射器のリースが別契約で残り36か月×月3万円なら、リースの残り108万円が別にかかる可能性がある(仮定)
  • 合計:90万円+108万円=198万円(原状回復や在庫の処分費は別)

回数券や月額コースを販売している場合は、閉店時に残っているお客様の利用分をどう返金・引き継ぐかも考えておく必要があります。閉店時の手続きは閉店手順と注意点の記事で整理しています。

競業禁止の範囲

ガイドラインは、本部の商権の維持やノウハウの保護に必要な範囲を超えて、地域・期間・内容の面で過大な競業禁止を課すことを、優越的地位の濫用にあたるおそれがある例として挙げています。契約終了後に同じ場所で別の屋号のサロンを続けられるのか、他の美容メニューも制限されるのかなど、具体的な場面に当てはめて本部に確認してください。

書面だけでは分からないことの確かめ方

法定開示書面に書かれるのは決められた項目です。公正取引委員会のガイドラインは、それに加えて、事業上の損失に対する補償や経営不振時の本部の支援の有無、中途解約の条件などの開示が望ましいとしています。次の点は書面とは別に質問し、回答をメールや書面で残しておきましょう。

  • 売上が計画を下回ったとき、本部はどんな支援をするか(費用負担を含む)
  • 示された収益モデルの根拠(どの店舗の、いつの実績か)。ガイドラインは、予想売上・予想収益を示す場合は根拠のある事実と合理的な算定方法に基づき、その根拠を示す必要があるとしています
  • 人手不足や人件費の上昇など、経営に影響する情報。ガイドラインは、募集時点で明らかなものは根拠を示して提示することが望ましいとしています

読み終えたら、分からない点の一覧を本部に送り、回答を待ってから判断します。ガイドラインは契約前に検討に必要な期間を置くことが望ましいとしており、中小企業庁の資料によれば、日本フランチャイズチェーン協会は会員本部の自主基準として7日以上の熟考期間を設けることとしています。契約書と書面を、弁護士や中小企業診断士に見てもらう時間も確保してください。加盟前の確認全体はフランチャイズ加盟前に確認することでもまとめています。

よくある質問

Q. 法定開示書面はいつ受け取れますか?

A. 中小小売商業振興法では、対象となる本部は契約を結ぶ前にあらかじめ書面を交付し、説明することとされています。説明会の段階でもらえるとは限らないため、検討の早い段階で写しをもらえるか確認し、契約日の直前にならないよう依頼してください。

Q. 本部が「うちは対象外」と言った場合は?

A. サービス業中心のフランチャイズは、同法の対象にならないことがあります。それでも中小企業庁は事前開示が望ましいとしており、公正取引委員会のガイドラインは業種を問わず適用されます。同じ項目を書面で出してもらえるか依頼し、応じてもらえない項目を記録してください。

Q. 店舗数が増えている本部なら安心してよいですか?

A. 年度末の店舗数だけでは判断できません。新規出店数と、契約解除・更新されなかった数を年度ごとに並べ、店舗の出入りを見てください。解除や不更新が増えている場合は、理由を本部に確認します。

Q. 違約金の額が書面に書かれていません。

A. 書面には額または算定方法を記載することとされています。算定方法しかない場合は、自分の売上や解約の時期を当てはめて金額を計算し、本部にも具体的な金額の例を出してもらってください。

Q. 書面の内容が分からない場合は誰に相談できますか?

A. 中小企業庁の資料では、日本フランチャイズチェーン協会のフランチャイズ相談センター、中小企業庁商業課、公正取引委員会などが相談先として案内されています。契約書の確認は弁護士にも依頼できます。

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参考資料

執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年10月29日