「妊娠中や授乳中でもホワイトニングはできる?」という疑問に、学会と公的機関の資料で確認できる範囲で答えます。結論から言うと、歯科医院などで過酸化物を使って行う医療ホワイトニングについては、日本歯科審美学会の指針が「妊娠期・授乳期の女性」を禁忌症(行わない対象)として挙げています。一方、過酸化物を使わないセルフホワイトニングについては、妊娠中・授乳中の利用について公的機関や学会が示した明確な基準は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。妊娠中は歯ぐきの炎症やむし歯が起こりやすい時期でもあるため、見た目のケアより先に、歯科健診と毎日の口腔ケアを優先し、迷うときは産科の主治医と歯科医師に相談してください。
まず整理:医療ホワイトニングとセルフホワイトニングの違い
「ホワイトニング」という言葉は、中身の違う2つのものを指して使われます。妊娠中・授乳中の扱いを考えるときは、どちらの話かを分けておくことが大切です。
| 項目 | 医療ホワイトニング | セルフホワイトニング |
|---|---|---|
| 目的 | 歯そのものの色を漂白する | 歯の表面の着色汚れをケアする |
| 使うもの | 過酸化水素や過酸化尿素を主成分とする材料 | 過酸化物を含まないジェルと光(店舗・製品による) |
| 誰の判断で行うか | 歯科医師が診察して判断する | 利用者自身。歯科医師の診察はない |
| 妊娠中・授乳中の扱い | 日本歯科審美学会の指針で禁忌症に挙げられている | 公的機関・学会の明確な基準は見当たらない。店舗ごとの利用条件を確認する |
厚生労働省の回答(2025年4月)では、過酸化水素を含むホワイトニング材は、歯科医師が診察して使用が適当かを判断したうえで交付するものと整理されています。方法ごとの違いをさらに詳しく知りたい場合は「セルフホワイトニングと歯科ホワイトニングの違い」をご覧ください。
医療ホワイトニング:学会の指針では「妊娠期・授乳期」は禁忌症
日本歯科審美学会の「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」では、ホワイトニングを行わない対象(禁忌症)を、歯の状態によるものと全身的な要因によるものに分けて示しています。全身的な要因による禁忌症として挙げられているのは、無カタラーゼ症、妊娠期・授乳期の女性、気管支喘息などの呼吸器疾患、小児、光線過敏症です。
この指針に沿えば、妊娠中と授乳中は医療ホワイトニングを見送り、授乳が終わってから歯科医師と相談するのが基本の考え方になります。歯科医院でカウンセリングを受けるときは、妊娠の可能性がある場合も含めて、必ず最初に伝えてください。
なお、すでにホームホワイトニングを始めていて妊娠がわかった場合は、自己判断で続けず、使用を止めて処方した歯科医師に連絡し、今後の進め方を相談してください。
セルフホワイトニング:明確な基準はなく、相談と確認が前提
セルフホワイトニングは過酸化物を使わず、歯の表面の着色汚れをケアするサービスです。ただし、妊娠中・授乳中に利用してよいかどうかについて、公的機関や学会が示した明確な基準は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。基準がないことは「安全が確かめられている」という意味ではありません。利用を考える場合は、次の点を確かめてください。
- 店舗の利用条件:妊娠中・授乳中の人の利用をどう扱うかは、店舗ごとに決められています。予約の前に店舗や公式サイトで確認します。
- ジェルの成分:使うジェルの成分は店舗や製品によって違います。成分表示を見せてもらえるか確認します。
- 体調と姿勢:口を開けたまま一定時間座り、光を当てます。つわりや体調の変化があるときは無理をしないでください。
- 主治医への相談:不安がある場合は、産科の主治医に相談してから決めます。
- 口の状態:歯ぐきの腫れや出血、しみる・痛むなどの症状があるときは、セルフホワイトニングより先に歯科を受診します。セルフのスタッフは歯科医師ではなく、口の中の状態は診てもらえません。
妊娠中に起こりやすい口の変化
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」では、妊娠中は女性ホルモンの増加によって歯周病の原因菌が増えやすくなり、唾液のねばつきなどで口の中の自浄作用が落ちるため、歯ぐきの炎症や出血が起こりやすくなると説明されています。つわりによる食べ物の好みの変化や歯みがきのしにくさ、食事回数の増加も、むし歯や歯周病のリスクを高めるとされています。
同会の解説では、妊娠中にホルモンバランスの変化で「妊娠性歯肉炎」や「妊娠性エプーリス」(歯ぐきのできもの)が起きることがある一方、「赤ちゃんにカルシウムを取られて歯が弱くなる」というのは俗説だと説明されています。むし歯が増えるのは、つわりで歯みがきがしにくくなったり、食生活が変わったりすることが主なきっかけです。
また、日本歯科医師会が厚生労働省の検討会(2019年)に提出した資料では、歯周病が早産や低体重児出産と関わる可能性があるとして、妊婦歯科健診の重要性が示されています。妊娠中は、歯の白さよりもまず口の健康を保つことを優先したい時期です。
妊娠中の口腔ケアと歯科受診のポイント
日本歯科医師会の解説をもとに、妊娠中のケアと受診のポイントをまとめます。
| 場面 | ポイント |
|---|---|
| つわりで歯みがきがつらいとき | 気分のよいときにみがく。みがけないときはぶくぶくうがいをする。ヘッドの小さい歯ブラシを使うと楽になる |
| 食べ方 | 糖分の多いものや酸性の食品をだらだら食べるのを控える |
| 歯科健診の時期 | つわりがおさまる4〜5か月ごろに健診を受け、体調が比較的安定する妊娠中期に必要な治療を済ませるのがよいとされる |
| 受診時に伝えること | 母子健康手帳を見せ、産婦人科医から受けている注意を歯科医師に伝える。体調が悪くなったらすぐ申し出る |
| レントゲン・麻酔・薬 | 歯科のレントゲンや局所麻酔は、妊娠を伝えたうえで歯科医師と相談して判断する。薬に不安があれば歯科医師・薬剤師・産科の主治医に相談する |
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、妊産婦を対象とした歯科健康診査は、母子保健法により市町村が必要に応じて行う妊婦健康診査の一環と位置づけられ、むし歯や歯周病などの早期発見と保健指導を目的としています。お住まいの市区町村で妊婦歯科健診の案内がないか、母子健康手帳の交付時の資料や自治体のサイトで確認してみてください。
授乳が終わってから検討するときの流れ
出産後や授乳が終わってからホワイトニングを考える場合は、次の順で進めると判断しやすくなります。授乳期がいつ終わったとみなすかについて、学会や公的機関の明確な基準は見当たらないため、時期は歯科医師と相談して決めてください。
- 歯科で口の状態を確認する:妊娠・出産の期間にむし歯や歯周病が進んでいないかを診てもらい、必要な治療を先に済ませます。厚生労働省の歯科口腔保健サイト「iiha」のコラムでも、ホワイトニングの前にむし歯や歯周病を治療しておくことが勧められています。
- 色の悩みの原因を分ける:飲食などによる表面の着色が気になるのか、歯そのものの色を明るくしたいのかで、選ぶ方法が変わります。
- 方法を選ぶ:歯そのものの色を明るくしたい場合は、歯科医院での医療ホワイトニングや、歯科医師のオンライン診療後に自宅で行う方法があります。通院の時間が取りにくい場合の選択肢は「セルフホワイトニングから自宅で医療ホワイトニングへ」で整理しています。
- 授乳中かどうかを必ず伝える:医療ホワイトニングを受ける場合は、診察のときに授乳の状況を伝え、歯科医師の判断を受けます。
表面の着色汚れのケアを試したい場合の一例として、当サイトの運営会社は2013年創業のセルフホワイトニング専門店「WhiteningBAR(ホワイトニングバー)」を運営しています。同店のよくある質問では、妊娠中または授乳中の方は利用前に医師と店舗へ相談し、心配がある場合は無理に利用せず時期を改めて検討するよう案内しています(2026年11月4日確認)。
※WhiteningBARは当サイトの運営会社(株式会社ピベルダ)の自社サービスです。
相談するときに伝えたいこと・聞きたいこと
歯科医師や産科の主治医に相談するときは、次のことを伝えると判断がスムーズになります。
- 妊娠週数、または出産日と現在の授乳の状況
- 産科で受けている注意や、服用している薬
- 気になっている歯の色の悩み(いつから、どの歯が、何が原因と思うか)
- 歯ぐきの腫れや出血、しみるなどの症状の有無
- 考えている方法(歯科での医療ホワイトニング、セルフホワイトニングなど)
聞いておきたいのは、「今の時期に優先すべき治療やケアは何か」「ホワイトニングを検討してよい時期の目安」「それまでに自分でできる着色の予防」の3点です。
ホワイトニングを試してみたい方へ
- 歯の表面の着色汚れをケアしたい:ホワイトニングバーの店舗を探す(公式サイト経由の初回2,200円〜・税込)
- 初めてで流れを知りたい:ホワイトニングバー「初めての方へ」
- 通院せずに、歯科医師のオンライン診療のもとで漂白したい:どこでもホワイトニング
※ホワイトニングバーとどこでもホワイトニングは、当サイトの運営会社(株式会社ピベルダ)のサービスです。
よくある質問
妊娠中に歯科医院でホワイトニングを受けられますか?
日本歯科審美学会の指針では、過酸化物を使う医療ホワイトニングについて「妊娠期・授乳期の女性」を禁忌症として挙げています。妊娠中は見送り、授乳が終わってから歯科医師と相談するのが基本の考え方です。
授乳中ならホワイトニングをしても大丈夫ですか?
同じ指針で授乳期も禁忌症に挙げられているため、医療ホワイトニングは授乳が終わってから検討するのが基本です。授乳期がいつ終わったとみなすかの明確な基準は見当たらないため、時期は歯科医師に相談してください。
セルフホワイトニングなら妊娠中でも使えますか?
セルフホワイトニングは過酸化物を使いませんが、妊娠中・授乳中の利用について公的機関や学会が示した明確な基準は見当たりません。店舗ごとの利用条件を確認し、不安がある場合は産科の主治医に相談してから決めてください。
妊娠がわかる前にホームホワイトニングをしていました。どうすればいいですか?
自己判断で続けず、使用を止めて、ホワイトニング材を処方した歯科医師と産科の主治医に伝えて相談してください。
妊娠中に歯が黄ばんできた気がします。どうすればいいですか?
妊娠中はつわりや食生活の変化でむし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。色の変化が気になるときも、まず歯科健診を受けて口の状態を確認してもらうことをおすすめします。
ホワイトニングを受ける前に読みたい記事
参考資料
- 日本歯科審美学会「歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針」
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「妊娠時の歯やお口のケア」
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「妊娠中は赤ちゃんにカルシウムを取られるからむし歯にかかりやすい」
- 日本歯科医師会「妊産婦における口腔健康管理の重要性」(厚生労働省 第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 資料、2019年3月)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯科健診(検診)」
- 厚生労働省 iiha(からだの健康、お口から)コラム
- 厚生労働省「新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表」(2025年4月18日回答)
執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年11月4日

