初回0円・500円の安売りでセルフホワイトニングサロンは儲かる?価格競争と本部の収益構造

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初回0円・500円のような極端に安い初回料金は、新規のお客様を集めやすくする一方で、初回1人ごとに赤字が出やすく、その赤字は2回目以降に通ってもらえて初めて回収できます。値下げが深いほど、回収に必要な継続率と来店回数は上がります。また、フランチャイズに加盟する場合、本部の収入の多くは加盟店が黒字かどうかと関係なく発生する形になりうるため、安売りの負担がどこにかかるかを契約前に確かめることが大切です。この記事では、これから開業・加盟を考える人に向けて、初回値下げの採算を仮定の試算で示し、ロイヤルティの方式ごとに本部の収入と加盟店の利益の連動のしかたを比べ、法定開示書面や契約で確認すること、価格表示の注意点を整理します。

初回の極端な値下げが広がる理由

予約サイトや地図検索でセルフホワイトニングを探すと、初回0円や数百円といった案内を見かけることがあります。どのくらいの店がこうした料金を出しているかを集計した公的な統計は見当たらないため、業界全体の傾向を数字で示すことはできません。出店を考えている人は、自分の候補地で実際に調べてみてください。

  • 予約サイトで候補地の駅・エリアを指定し、「セルフホワイトニング」「ホワイトニング」で検索して、各店の初回料金・2回目以降の料金・回数券や月額コースの有無を表に書き出す
  • 地図検索でも同じキーワードで探し、予約サイトに載っていない店の料金も公式の案内で確認する
  • 調べた日付を必ず記録し、1〜2か月おいて同じ方法でもう一度調べる(期間限定の料金かどうかが分かる)

初回の値下げが選ばれやすい理由は、主に次のようなものです。

  • 予約サイトの一覧で比べられる:一覧画面では料金が並んで表示されるため、初回料金が目に留まりやすい
  • 試してみる心理的なハードルが下がる:初めてのサービスは「合わなかったら損」と感じやすく、安い初回はその不安を小さくする
  • 近くの店に合わせる:同じエリアに安い初回を出す店があると、それに合わせて下げたくなる

どれも理解できる理由ですが、初回を下げると、初回1人あたりの赤字と、それを取り戻すための条件が変わります。次の試算で確かめてみましょう。

試算:初回1人あたりの採算と回収の条件(仮定)

以下は、仕組みを説明するための仮定の数字です。実在する店の数字や業界の平均を示すものではありません。自分の計画の数字に置き換えて計算してください。

前提(仮定)

  • 通常料金は1回4,000円
  • ジェル・消耗品などの変動費は1回500円
  • 人件費:初回は説明や同意書の確認を含めて1時間、2回目以降は30分の対応とし、時給1,500円で初回1,500円、2回目以降750円を割り当てる
  • 新規のお客様1人を集めるための広告費(CPA)は3,000円

この前提では、初回1人にかかる費用は500円+1,500円+3,000円=5,000円です。2回目以降は1回あたり4,000円−500円−750円=2,750円が残ります。

初回料金ごとの比較

初回料金初回1人の収支継続した人1人で回収するのに必要な2回目以降の来店継続した人が平均4回通う場合に必要な継続率継続率30%の場合に継続した人に必要な来店
0円−5,000円2回(1.82回分)約45.5%7回(6.06回分)
500円−4,500円2回(1.64回分)約40.9%6回(5.45回分)
2,000円−3,000円2回(1.09回分)約27.3%4回(3.64回分)
4,000円(通常料金)−1,000円1回(0.36回分)約9.1%2回(1.21回分)

計算は次のとおりです。

  • 初回1人の収支=初回料金−5,000円
  • 継続した人1人で回収するのに必要な来店=初回の赤字÷2,750円(端数は切り上げ)
  • 必要な継続率=初回の赤字÷(4回×2,750円)。たとえば0円なら5,000円÷11,000円≒45.5%
  • 継続率30%のときに必要な来店=初回の赤字÷(30%×2,750円)。継続しなかった70%の人の赤字も、継続した人の来店で取り戻す必要があるためです。0円なら5,000円÷825円≒6.06回

この仮定では、初回0円の場合、初回のお客様の半分近くが継続して平均4回通ってくれないと、広告費と人件費を含めた初回の費用を回収できません。継続率が30%なら、継続した人に2回目以降7回通ってもらう必要があります。通常料金で初回を受ける場合と比べると、回収の条件が大きく厳しくなることが分かります。

安い初回で広告費が下がる場合

初回を0円にすると反応が増えて、新規1人あたりの広告費が下がることもありえます。CPAが3,000円から2,000円に下がると仮定すると、初回の費用は4,000円になり、必要な継続率(平均4回通う場合)は4,000円÷11,000円≒36.4%です。改善はしますが、通常料金に近い初回の場合より条件は厳しいままです。また、料金の安さをきっかけに来た人の継続率がどうなるかは店や地域によって違うため、自店で初回料金ごとの継続率を記録して確かめることが大切です。

価格競争に入ると損益分岐点が上がる

初回の赤字は、毎月の固定費が増えたのと同じように働きます。上の前提で、毎月60人の新規のお客様を集める店を考えます(仮定)。

初回料金初回の赤字の月合計その赤字を埋めるのに必要な2回目以降の来店(月)
0円5,000円×60人=30万円30万円÷2,750円≒110回
2,000円3,000円×60人=18万円18万円÷2,750円≒66回

この仮定では、初回を2,000円から0円に下げると、同じ新規の人数でも、家賃や人件費とは別に毎月約44回多く2回目以降の来店がないと、同じ損益になりません。近くの店も初回を下げて新規のお客様が分かれると、新規の人数自体が減り、継続して通う人も増えにくくなります。値下げが広がるほど、1店あたりの損益分岐点に届きにくくなる仕組みです。固定費・変動費の分け方と損益分岐点の計算は損益分岐点の計算方法で解説しています。同じエリアに店が増えたときの食い合いの試算は同じエリアの出店が売上を食い合う仕組みで解説しています。

本部の収入源と加盟店の利益の連動

フランチャイズに加盟する場合、本部に支払うお金は一般に次のようなものです。名称や組み合わせは本部によって違います。

  • 加盟時:加盟金、保証金、研修費、開業支援費
  • 開業時:照射器などの機器の購入代金やリース料、内装や看板の工事費(本部や指定業者に支払う場合)
  • 毎月:ロイヤルティ、システム利用料、広告分担金
  • 使った分:ジェルなどの消耗品を本部から仕入れる場合の代金

これらの多くは、加盟店が黒字か赤字かと関係なく発生する形になりえます。たとえば消耗品を本部から仕入れる場合、本部の売上は来店の回数に応じて増えるため、初回0円で来店が増えた月は、加盟店が赤字でも本部の売上は増えることがあります。本部には研修や開発、ブランドの維持などの費用もあり、こうした仕組み自体が不当というわけではありません。ただ、加盟する側は「どのお金が自分の利益と連動し、どのお金が連動しないか」を契約前に把握しておく必要があります。

ロイヤルティの方式ごとの比較

以下は一般的な方式の説明で、特定の本部の条件を示すものではありません。

方式本部の収入が増減するもの加盟店が赤字の月初回の値下げとの関係確認すること
売上歩合(売上×一定率)加盟店の売上売上があれば発生する値下げで売上が下がれば本部の収入も下がるが、加盟店の赤字幅ほどは下がらない「売上」に物販や回数券の前受金を含むか
定額(月○円)増減しない同じ額が発生する値下げの影響を受けない改定の条件、開業直後の減額の有無
粗利分配(売上総利益×一定率)売上から原価を引いた額粗利があれば発生する原価に何を含むかで負担が変わる売上総利益と売上原価の定義
最低額付きの歩合売上(ただし下限あり)売上が少ないと下限額が発生する値下げで売上が下がると、実質的な負担率が上がる下限額と、下限が適用される売上の水準
ブース数・機器台数あたり設備の数同じ額が発生する値下げの影響を受けない増設したときの扱い
ロイヤルティなし(商品の販売で収益)消耗品などの仕入れ量仕入れがあれば発生する来店が増えると本部の売上が増え、初回の値下げで加盟店の利益とは逆向きに動くことがある仕入れの義務、単価、最低購入量、返品の可否

公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は、ロイヤルティを売上総利益で計算する場合に、売上総利益の定義を十分に開示しているか、定義と異なる説明をしていないかを、不当な勧誘の判断の観点として挙げています。どの方式でも、書面の計算方法で自分の数字を当てはめて確かめることが大切です。

試算:初回0円の月に本部と加盟店の収入はどう動くか(仮定)

同じ店で、ふだんの月(初回2,000円・新規30人・CPA3,000円)と、初回0円の月(新規80人・CPA2,000円)を比べます。2回目以降の来店はどちらも月250回(4,000円)、消耗品は1回500円で本部から仕入れ、ロイヤルティは売上の8%、家賃・人件費などの固定費は月70万円と仮定します。

項目ふだんの月初回0円の月
売上30人×2,000円+250回×4,000円=106万円0円+250回×4,000円=100万円
来店回数280回330回
消耗品の仕入れ(本部へ)280回×500円=14万円330回×500円=16.5万円
広告費30人×3,000円=9万円80人×2,000円=16万円
ロイヤルティ(売上の8%)8.48万円8万円
加盟店の損益+4.52万円−10.5万円
本部が受け取る額(ロイヤルティ+消耗品の代金)22.48万円24.5万円

加盟店の損益は「売上−消耗品−固定費−広告費−ロイヤルティ」で計算しています。この仮定では、初回0円の月は加盟店が赤字になる一方、本部が受け取る額は増えています(本部が受け取る額は本部の売上で、本部の利益ではありません)。0円で来た人が翌月以降に通ってくれれば加盟店も回収できますが、それは前の試算のとおり継続率しだいです。本部が初回0円のキャンペーンを勧める場合は、その費用を誰が負担するのか、加盟店の損益の試算を示してもらえるかを確認しましょう。

加盟前に法定開示書面・契約で確認すること

中小小売商業振興法第11条は、一定の要件にあたるフランチャイズ(特定連鎖化事業)の本部に、契約を結ぶ前に、加盟金などの金銭、商品の販売条件、経営指導、商標などの使用、契約期間・更新・解除などを記載した書面を交付し、説明することを義務づけています。中小企業庁の資料は、施行規則で定める事前開示項目として、加盟に際して徴収する金銭、定期的に徴収する金銭(額または算定方法と、その根拠)、売上金の送金、加盟者に販売する商品の種類と代金の決済方法、経営指導、立地条件が類似する加盟店の収支などを挙げています。要件にあたらない場合でも、中小企業庁は公正取引委員会のガイドラインを参考に事前に開示することが望ましいとしています。

安売りと本部の収益構造に関わる点では、書面と契約書で次の項目を確認してください。

確認すること書面・契約書で見るところガイドラインの関連する記載
仕入れの義務販売する商品の種類と決済方法、指定の仕入れ先、最低購入量、返品の可否正当な理由なく本部が指定する事業者とだけ取引させ、良質廉価な他の事業者との取引を妨げること、返品できないのに必要を超える仕入数量を指示することを、優越的地位の濫用にあたりうる例として挙げている
価格の指定初回料金やキャンペーン価格を誰が決めるか、加盟店が参加を断れるか希望価格の提示は必要に応じて許容される一方、本部が商品を直接供給していない場合でも、加盟者が提供する商品・役務の価格を不当に拘束すると、拘束条件付取引にあたることがあるとしている
販促費の負担広告分担金の額や算定方法、全体キャンペーンの費用負担、システム利用料加盟時に開示が望ましい事項として、ロイヤルティの額・算定方法・徴収の時期と方法を挙げている。契約後に新たな事業を導入し、加盟者が得る利益を超える費用を負担させる場合の例も挙げている
最低ロイヤルティ定期的に徴収する金銭の算定方法、下限額の有無本部の説明だけでなく、算定方法を自分の売上見込みで計算する
予想売上の根拠示された収支モデルの元になった店舗と期間、初回料金や継続率の前提予想売上・予想収益を示す場合は、根拠ある事実と合理的な算定方法に基づき、モデル収益の場合はその旨を明示することが望ましいとしている

収支モデルを受け取ったら、初回料金・新規の人数・CPA・継続率がどう置かれているかを確かめ、この記事の試算と同じように自分で計算し直してください。開示書面の項目ごとの読み方は法定開示書面の読み方で解説しています。この記事は加盟を勧めるものでも否定するものでもありません。

初回価格の表示で注意すること(景品表示法)

初回0円などの料金を表示すること自体が、それだけで問題になるわけではありません。ただし、表示のしかたによっては景品表示法の不当表示にあたるおそれがあります。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)は、商品だけでなく役務(サービス)の価格表示も対象にしています。

  • 有利誤認:景品表示法第5条第2号は、価格その他の取引条件について、実際のものや競争事業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示で、不当に顧客を誘引するおそれがあるものを禁止しています
  • 「通常○円→初回○円」の二重価格表示:比較に使う価格(比較対照価格)がどんな価格かを正確に示す必要があります。過去の販売価格を使う場合、同じサービスで「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であれば問題になるおそれはないとされ、目安として、セールを始める時点からさかのぼる8週間のうち、その価格で販売されていた期間が過半を占めることが挙げられています。その価格での販売が通算2週間未満の場合や、最後に販売した日から2週間以上たっている場合は、相当期間の価格とはいえないとされています
  • 条件の明示:適用される人が限られている価格なのに、その条件を示さずに価格だけを表示すると、不当表示のおそれがあるとされています。初回限定、新規のお客様のみ、特定の曜日・時間のみ、コースの申込みが条件など、条件があれば価格のそばに分かるように書きます
  • 安さを強調する表示:「大幅値下げ」などの表示で、実際には通常の価格とほとんど差がない場合や、対象が一部に限られるのに全体が安いように見せる場合は、不当表示のおそれがあるとされています

フランチャイズで本部が用意した広告物を使う場合も、自分の店の実際の料金と条件に合っているかを確認しておきましょう。

お客様の側から見た注意点

国民生活センターは、脱毛エステについて、低価格をうたう広告で来店したら高額なコースを勧められる例が目立つとして注意を呼びかけています(2022年7月)。パーソナルトレーニングでも、無料体験の後に長時間のカウンセリングを受けて高額な契約をした相談事例を公表しています(2026年10月)。セルフホワイトニングでも、安い初回の後の案内は、総額・回数・有効期限・解約の条件を分かりやすく示し、その場で契約を急がせないことが、トラブルを防ぎ、信頼して通ってもらうことにつながります。

値下げに頼らない集客の考え方

初回の料金を下げる前に、次の点を自分の店の数字で検討してみてください。

  • 初回料金を決める前に試算する:この記事の表に自分の変動費・人件費・CPAを入れ、初回料金ごとに必要な継続率を出す。その継続率が現実的かどうかで判断する
  • 新規と継続を分けて記録する:初回料金ごと・集客経路ごとに、新規の人数、CPA、2回目の来店率を毎月記録する。数字があれば、値下げの効果を確かめられる
  • 2回目につながる初回にする:説明の分かりやすさ、施術の流れ、次回の目安の案内など、初回の体験の質を整える。次回の予約は勧めても、押し付けない
  • 料金以外で選ばれる理由を作る:営業時間、予約の取りやすさ、通いやすい場所、清潔さ、料金体系の分かりやすさなど、価格を下げずに伝えられる要素を具体的に示す
  • 料金は総額で分かりやすく:初回だけでなく、2回目以降・回数券・月額の料金を並べて示すと、比べる人に誤解を与えにくい

集客経路ごとの費用の考え方とCPAの計算は集客方法の解説でまとめています。

よくある質問

Q. 初回0円にすると必ず赤字になりますか?

A. 初回だけを見れば、広告費・人件費・消耗品の分だけ赤字になります。その後に2回目以降の来店が十分にあれば回収できますが、値下げが深いほど、必要な継続率と来店回数は上がります。この記事の仮定では、継続した人が平均4回通う場合、初回0円では約45.5%、初回2,000円では約27.3%の継続率が必要です。

Q. フランチャイズ本部は加盟店が赤字でも儲かるのですか?

A. 本部や契約によって違うため一律には言えません。ただ、加盟金、定額のロイヤルティ、機器のリース、消耗品の販売などは、加盟店が黒字かどうかと関係なく発生する形になりえます。契約前に、本部に払うお金ごとに、自分の売上や利益と連動するかどうかを確認してください。

Q. 本部から初回キャンペーンへの参加を求められたら断れますか?

A. 契約の内容によります。公正取引委員会のガイドラインは、希望価格の提示は必要に応じて許容されるとする一方、加盟者が提供する商品・役務の価格を不当に拘束すると問題になることがあるとしています。価格を誰が決めるのか、キャンペーンの費用を誰が負担するのかを、契約前に書面で確認してください。

Q. 「通常4,000円→初回0円」と書いてもよいですか?

A. 比較に使う通常料金が、実際に最近相当期間その料金で提供していた価格であること、初回限定などの条件を分かるように示すことが必要です。消費者庁の価格表示ガイドラインでは、セール開始前の8週間のうち過半の期間その価格で販売していたことが目安として示されています。

Q. 値下げをしないと新規のお客様が集まらないのでは?

A. 値下げで新規が増えることはあります。大切なのは、新規の人数だけでなく、2回目の来店率と回収までの期間を記録して判断することです。初回料金ごとに継続率を比べ、損益分岐点に届くかを試算してから料金を決めてください。

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参考資料

執筆:ホワイトニング総研編集部(株式会社ピベルダ) 情報の確認日:2026年11月5日